『サムライと愚か者 暗闘オリンパス事件』(講談社)山口義正著を
読み終えました。
雑誌ジャーナリズム賞「大賞」を受賞した山口記者。
『東京マーケットワイド』(東京MX・三重テレビ・ストックボイスTV)で
キャスターを務めるなか、経済ジャーナリストとして
世界が注目するスキャンダル「オリンパス事件」をスクープし
追求し続けてきました。
『サムライと愚か者 暗闘オリンパス事件』
名門企業を地獄に引きずり込んだ悪党は誰だ?
会社を私物化する経営者、粉飾に群がる闇の人脈、批判を潰される社員たち。
マスメディアが無視する中、内部告発と極秘資料をもとに、
著者がたった一人で追及した経済スキャンダルの全貌。
経済キャスターの友人が言っていた通り、感動しました。
<同書より抜粋↓>
ウッドフォード(オリンパス事件を告発した元社長(解任))が
少しだけ感情を込めて私に尋ねたことがある。
「日本人はなぜサムライとイディオット(愚か者)がこうも極端に分かれてしまうのか」
身の危険を顧みずに不正を追及しようとするサムライもいれば、
遵法精神に欠け不正を働いたり、何の疑問も持たずにこれを幇助したりする
イディオットもいる。
あるいは不正を働いた企業側に回って正論に耳を塞いでしまう金融機関も
イディオットに分類されるかもしれない。
↑この文章を読んでとても寂しい気持ちになりましたが、その一方で、
<同書より抜粋↓>
この「オリンパス事件」は不正を嫌う無名の個人たちが共鳴しつつも
集団になることなく、企業やこれを牛耳る経営陣と戦い、不正を暴いたのである。
「正義」を心の中心に近いところに置いている個人の情報提供によって
第一報を書くことができた。
するとこれと同じ価値観を持った別の個人が共鳴し、私に重大な情報を
くれたことで海をまたいだ経済スキャンダルに発展し、
さらにこれらの人々の連鎖は拡大して、ついには事件の全貌までも
ほぼ明らかになってしまった。
と記されている「あとがき」に、その気持ちも救われました。
山口記者は、書評コラムの取材に応じてくださるとのことで
明日、お話をうかがうことになっています。