日本記者クラブにて開催された
【OECD(経済協力開発機構)
『今後50年間の政策課題』取材レポート】
OECD事務次長・チーフエコノミスト 玉木林太郎氏
今後50年を展望すると、世界経済の成長は鈍化し、
世界経済のバランスは現在のOECD加盟国から非OECD圏へと
経済活動が移行する。
技能を持つ人材が極めて重要な役割を持つようになり、
賃金格差が拡大する。
労働人口は減少し、2030年、2040年は
今と同じように移民という形で労働力を
確保することも困難なものとなる。
■高齢化や新興国経済の緩やかな失速ににより、
世界の経済成長率は2010年~2020年の3.6%から
2050年~2060年には2.4%へと鈍化する。
上の点線が新興国、真ん中が世界、下が先進国】
■世界経済のバランスは現在の非OECD圏、
特にアジア・アフリカ諸国へと移行し続ける。
それらの国々の経済構造と輸出は益々OECD圏に類似する。
この結果、2060年までに非OECD諸国が世界のGDPに占める
割合は、現在のOECD加盟国の割合を大幅に上回る。
上の点線が中国、真ん中が新興国、下がインド】
■技術進歩により、高技能労働者に対する
世界的な需要が高まるため、2060年までに
OECD圏の平均的な所得格差は、現在の米国など
格差が最大である国々の水準に達する。
全世界的に所得格差が広まる。
■高技能労働者に対する需要の高まりに対応するためには
効率的な再分配措置と教育政策を実施することが極めて重要。
高等教育前の教育や生涯教育に公的資金を重点配分する必要が出てくる。
2010年20%弱から2060年には34%へ
■世界が多極化する中、国際協力の強化が必要となる。
世界的な相互依存の高まりから、基礎研究、知的財産権法、
競争政策、気候といったグローバル公共財の
提供面における国際協力が必要となる。
効果的な協力のなかで、独占禁止対策の実効性を
高めることができる。
現在の労働人口が青、2060年の労働人口が赤】
世界的な高齢化が続けば、世界経済に深刻な
影響を及ぼす。
欧米も米国も50年後に労働力は落ちる。
2020年、2030年には移民の奪い合いになる可能性も。
日本が先送りしている間に労働力は全世界的に
減少傾向にある。